技術経営・
技術経営・イノベーション大賞では、
社会の変革に資するイノベーションを創出した優れた「技術経営」の取り組みを評価・顕彰します。
併せて、その成果と挑戦の意義を広く共有することで、
次世代の経営者・技術者の模範となることを目的としています。
組織や集団が協力しあってイノベーションを興そうとする、その努力を導きまとめあげていく技術経営上の理念・プロセス・チャレンジに特に注目します。実績のみならず、挑戦の意義・革新性・将来展望など、未来を切り拓く可能性も評価します。
主な観点として、以下の(1)~(5)を評価します。なお、反社会的勢力との関係が判明した場合、または不祥事その他の重大な事由が発覚し、必要な対応措置が講じられていないと認められる場合には、選考対象外とします。
注)今回応募者のうち、過去に本および他の表彰制度で受賞されている場合
今回も表彰式や記念講演をしていただくセレモニーを企画しております。詳細が決まり次第、マイページにご登録いただいたアドレスへメールにてご案内いたします。
応募は無料です。
応募用紙および添付の補足資料に記載された事項は、本賞の選考のみに使用いたします。これらの情報は選考関係者が閲覧し、それ以外の者への提供・共有は一切行いません。
ただし、応募者の皆様には、弊社より各種講演会等のご案内、または講演依頼等をお送りする場合がございます。あらかじめご了承くださいますようお願い申し上げます。
ご提出いただいた応募用紙および補足資料は、返却いたしません。また、補足資料はあくまで参考として取り扱うものといたしますので、アピール事項・評価に必要な内容につきましては、応募用紙内に必ず明記くださいますようお願い申し上げます。
選考過程において、リモート形式でのヒアリングをお願いすることがございます。
選考状況や内容の詳細に関する照会や、結果に対する異議申し立てには、お答え致しかねます。
受賞案件は、活動内容を各種メディア媒体で公表させていただくことがあります。加えて、報道関係者からの取材協力をお願いすることがあります。
神経毒性の高い物質(異常なたんぱく質)に選択的に結合し除去することでAD進行を抑制する、「日本発」「世界初」の早期アルツハイマー型認知症に対する治療剤であり、世界中の企業や研究者が開発を諦める中、同社が長期間に渡り認知症研究をおこなってきた成果である。高齢化社会における認知症患者の増加は深刻であり、莫大な医療費や介護費、加えて介護者の負担等も大きく、これら課題に対する解決の一助として、社会的意義が極めて大きい点が評価された。
レケンビは、ヒト化抗ヒト可溶性アミロイドβ凝集体モノクローナル抗体であり、アルツハイマー病(以下、AD)を惹起させる因子の1つで、神経毒性の高いAβプロトフィブリルに選択的に結合して脳内から除去することでADの進行を抑制し、認知機能と日常生活機能の低下を遅らせることを実証した、日本発、世界初のアルツハイマー病による軽度認知障害および軽度の認知症(以下、早期AD)治療薬である。日本の厚生労働省、米国の承認機関であるアメリカ食品医薬品局(FDA)、などの承認を得て発売に至っている。2025年3月現在、日本、米国に加えて中国、韓国、英国他11か国で承認を取得している。
ADは高齢者の認知症で最もよくみられる疾患であり、記憶およびその他の認知機能、行動、日常生活が緩徐に障害される進行性の神経変性疾患である。日本の認知症の高齢者は2025年に約471万人、2040年に584万人(約6.7人に1人)と推定されている。ADは当事者や介護者の方々に大きな障害や負担をもたらし、社会全体に対しても甚大な影響を及ぼしている。自社の筑波研究所で約40年にもおよぶ認知症の研究が結実したイノベーションの成果であり、日本社会における認知症の諸課題解決の端緒となる製品である。
地下空洞や埋設物を非破壊技術で可視化・診断する探査システムであり、車両型の探査装置で走行・検知することで、迅速かつ効率的な調査が可能である。昨今、激甚化している自然災害(地震・台風等)やインフラの老朽化による道路陥没が社会問題となっているが、このシステムを使うことで被害の予防に貢献できる点、また、災害発生エリアでの事後調査での活用によりインフラ損傷を迅速に検知できる点が評価された。
道路陥没が社会問題化した1990年、当社は、陥没を引き起こす地下空洞を非破壊技術で可視化・診断する世界初の路面下空洞探査システムを開発した。以来、地下インフラの老朽化が進むなか道路陥没事故の未然防止に貢献してきた。
近年、地下インフラの老朽化に加えて、地震や豪雨などの自然災害が激甚化・頻発化している。平時からの事前防災・減災はもとより、発災後の緊急要請にも応えるため、従来技術からさらにスピードと解像度を高めた地下3次元可視化技術「スケルカ®」を開発した。
「スケルカ®」の解像度向上は、高精細な3次元情報が必要となる橋梁・舗装の内部劣化診断に加えて地下埋設管の3次元デジタルマップ化の実用を可能にした。「スケルカ®」が提供する正確な地下3次元可視化情報は、減災のための無電柱化や上下水道の耐震・更新化事業の円滑な推進に寄与している。
「スケルカ®」は、これまでの事後対応をプロアクティブな対応に変え、減災をより促進するゲームチェンジャーとなっている。
正確な地下3次元可視化情報は、海外でも求められており、当社は「スケルカ®」を「GENSAI TECH®」(減災技術)として海外でも普及させるべ台湾、米国において事業を開始している。
東京大学大学院の研究室メンバーが立ち上げた会社であり、アルゴリズム開発が最も難しいとされた脳MRIから動脈瘤候補点の検出を行うソフトウェアを開発、現在は3領域9品目の医療機器製造販売承認・認証を取得、販売している。様々な利用機器、PACS(医療用画像管理システム)との接続ができ、またサブスクリプション形式での提供が可能なため、大学病院から診療所まで幅広く導入されている点、医師の業務負担軽減、診断精度向上につながる点が評価された。
医療画像診断支援AI「EIRL(エイル)」は、胸部X線、CT、脳MRI、大腸内視鏡画像から病変や画像所見の検出を支援することで、医師の診断をサポートするソフトウェアシリーズである。シリーズ最初の製品は、2019年9月に医療機器製造販売承認を取得し販売を開始した脳MRIから脳動脈瘤の候補点を検出するソフトウェア(EIRL Brain Aneurysm ※1)だ。2019年当時は、画像診断支援AIの国内での製品化事例が殆どない中で、従来の画像処理技術ではなく、深層学習を用いて病変検出を支援するプログラム医療機器(ソフトウェア)を先駆的に開発し、薬事承認を取得して製品化を実現した。
その後も対象領域を拡大し、現在(2024年8月)までに頭部(MRI、CT)・胸部(X線、CT)・大腸(内視鏡)の3領域で9品目の医療機器製造販売承認・認証を取得し販売している。日本における医療AI市場を創出し、医療AI製品の販売及び対象領域・疾患の拡大にあたってはパートナー各社を巻き込むことで社会実装・市場拡大を推進している。
建設業界の生産性向上・魅力の向上を目指し、同業他社が連携し、業界全体のDXを推進するという画期的な取り組みである。共創と競争のポイントを適切に設計し、コンソーシアム全体で業務改革を推進する試みである点、企業規模の大小を問わず、また建設業界以外の他業種企業も参画することで、新たな価値創造をおこなっている点が評価された。
建設産業は労働集約的で生産性が低く、典型的な3K(危険・汚い・きつい)産業であることから、少子高齢化による極度の労働力不足に加えて、若年層の入職者が少なく、産業を維持する基盤が脅かされている。そこで、ゼネコン各社は生産性向上に向けて、建設ロボットの開発や作業所のDX化推進などに取組んで来たが、各社単独での改善効果は非常に限定的で、全国で47万社とすそ野の広い建設業界全体の改善は更に困難であった。
建設RX※コンソーシアムは、業界全体を対象とした働き方改革推進、生産性と業界の魅力向上を目的に、各種建設施工ロボットや施工支援アプリ等の共同開発及び相互利用といった包括的な技術連携を行う民間団体である。 ※RX:Robotics Transformation
現在の会員企業は280社を超え、建設業をサポートする様々な企業が参画し、12の分科会を設置して開発と相互利用を行っている。
単なる個別技術を対象とした協業・共同開発ではなく、企業間競争の枠を超えた協調モデルの確立を目指し、様々な建設現場の課題を皆であぶりだして互いに知恵を出し合って解決してゆく包括的な技術連携は建設業界のみならず他産業でも例を見ないユニークな取組みと言える。
従来の構造では3階建てビル相当の巨大な回転装置が必要だった陽子線がん治療装置を、超伝導電磁石を用いた新構造により、従来の1/3という超小型化を実現し、導入コストの大幅な低減が図れるシステムである。陽子線がん治療は、その治療効果や正常組織や臓器へのダメージ低減が期待されており需要が大きいものの、国内の装置数がまだ少なく、超小型化により普及拡大が期待できる点が評価された。
国立放射線医学総合研究所の研究者だった古川が、陽子線がん治療を普及させようと設立。メーカーとの共同研究の枠を超え真に医療者が使いやすい治療システムの提供を目指す。
陽子線治療は放射線治療の一種で、X線に比べて腫瘍周囲の正常な組織や臓器へのダメージを低減することが期待されている治療法である。通院治療が可能なので、日常生活をそのままに治療が行える。しかし従来の構造では3階建てのビル相当の巨大な回転装置が必要で、高額な導入費用が普及を阻んでいた。
そこで回転を行わず超伝導電磁石を用いた全く新しい構造を考案。これにより高さを従来の約3分の1に縮小、導入費用の大幅な削減を実現した。また現場の負担を減らすため、装置だけでなく治療フローから再設計を行い、治療効率をあげるレイアウトや自走式治療台、管理システムを開発、病院の採算性の改善を推進する。
開発にあたっては普及にかける思いに共感した多くの企業や病院の協力を得て、ベンチャーでありながらもディープテック分野で競合に負けない製品・サービスづくりを実現。
2023年に日本で医療機器としての製造販売承認を受け、東京都では初となる導入が決まり、国内外から多くのお問い合わせを得ており日本のモノづくりを世界に届ける。
ナノインプリント半導体製造装置は、NIL技術を使用して半導体の微細な回路パターンを形成する装置である。NIL技術は従来の露光技術と異なり、マスクパターンをハンコのようにウエハーに転写する技術であり、低消費電力、低CO2での半導体製造を実現する。AIや5G等で半導体デバイスの需要が急増する中、半導体製造という重要分野で製造技術を抑えている点、環境負荷が少ない形での供給が期待できる点が評価された。
半導体の技術の進化は、回路パターンの微細化の歴史である。キヤノンは、従来の露光技術に代わる新たな技術、ナノインプリントリソグラフィ(以下、NIL)によって、光学性能に依存しない微細化技術を実現した。NIL技術は、15nm以下の微細な回路パターンを安価に製造できるため、半導体業界に革命を起こす技術と期待されている。また、従来の製造方式と比べて製造プロセスの消費電力を大幅に削減するなど、環境負荷低減にも配慮している。
キヤノンの企業理念は「共生」である。ものづくりに携わる世界中のお客様がキヤノンの最先端テクノロジーの産業機器を使い、地球環境や人類社会にとって持続可能な形で、より高機能・高性能な、あるいは全く新しい価値を持つ製品やサービスを生み出すことを目指している。その理念に基づいた技術開発が、世界初となるNIL技術を用いた半導体製造装置の製品化を実現した。これは、半導体製造のエコシステムの構築とNIL技術のデファクトスタンダード化を目指した成果でもある。NIL技術は、先端半導体の製造コストを削減して、電子機器の小型化、高性能化等を実現し、DXやIoTによるスマート社会の発展に貢献する。
CNTには高強度、熱伝導性、電気伝導性、軽量性、安定性等、優れた特性があり、同社はスパッタリングを用いた独自の触媒技術により、高品質なCNTの連続生産技術の開発に成功し、CNT自体の製造、販売に加え、製造装置の開発製造、販売も手掛けている。高品質CNTは、スピナブルと呼ばれる繊維やシートに直接加工できる特徴があり、今後、様々な分野でCNTの展開が期待できる点が評価された。
当社は、様々な産業への展開が可能な高品質カーボンナノチューブ(以下、「CNT」という)の連続生産技術の開発に成功した。この技術は、長年にわたりCNTに期待されていた高機能材料の実用化を可能にするものであり、様々な業界にイノベーションをもたらすことが期待されている。
CNTは1991年に発見されて以来、軽量性、高強度、高熱伝導性、柔軟性など、優れた特性を複数兼ね備えていることから、ドローンやEV用リチウムイオン電池の導電助剤、航空機や宇宙衛星、スポーツ・レジャー用品の構造材料(プリプレグ)、自動車や日用品の機能性樹脂など、幅広い分野での応用が期待されてきた。しかし、研究室レベルでは優れた成果が得られていたものの、CNTの品質、コスト、量産性を同時に満たす製造方法と、適切な利用方法が確立されていなかったため、産業界では当初期待されたほどの成果が上がっていなかった。
当社は、CNTの産業レベルでの実用化を見据え、品質、コスト、量産性の全てを兼ね備えた連続生産技術を開発した。これにより、導電助剤、構造材料(プリプレグ)、機能性樹脂などの実際のアプリケーションにおいて優れた性能を発揮し、量産展開が可能な製品の開発を進めている。
同社はISO16130で最高位の性能を実証している緩み防止ねじ「PLB v2」ならびに、その量産用転造金型を開発し、さらに金型を他の企業に提供するライセンス事業を実施している。トラックの車輪脱落事故やインフラ老朽化に伴う補修等の課題に対し活用が期待できる点、ビジネスモデルがユニークな点が評価された。
ねじという締結部品は簡単に締め、確実な締結を維持する目的がありながら、緩める時は簡単に緩まなければならない相矛盾した性能が要求される。その矛盾する要求仕様を満たした「緩み防止ねじ」およびその特殊形状を大量生産可能な金型が本提案となる。緩まないねじは、二重ねじ機構を採用し、二つのナットによる機械的干渉効果での確実な方法であり、その構造は、摩擦に依存する原理の他製品とは異なり、完全に機械的干渉効果で緩み難くする。この革新的形状は世界にはなく(欧米を中心に意匠・特許登録済み)、緩み防止性能は、第三者機関にて実施された耐振動試験にて、本製品のみがISO基準にて最高評価を得ており、施工性は、外側ナットの規定トルク締結のみで締結が完了する。更にコストは、開発した特殊形状に対応した「量産用転造金型」を用いて、極限の低コスト工法である転造加工により大量生産を実現するため、競合製品と比較して、安価に販売することが可能となる。これにより、従来製品では対応に困難である「高い緩み止め性能」、「良好な作業性能」、「低価格」を纏めて実現可能にした“緩み防止ねじPLB v2とその量産用転造金型”を開発した。
同社は、合成生物学を利用した産業用人工株の構築における統合的な技術を保有しており、従来、大量の植物から抽出していた植物由来の有用成分を、微生物を使った発酵プロセスで生産する方法を開発した。従来の生産方法と比較し、高効率であり、環境負荷の低減や資源の有効活用に繋がる点、今後の医薬品等の開発にイノベーションを起こす可能性のある取り組みである点が評価された。
現代の化学品産業において、多くの化学品原料は石油等の枯渇資源を原料として化学合成法により生産され、一部の化学合成が難しい物質は農業を通じた植物抽出法により生産されている。しかしながら、農業による抽出法は、特定地域・気候における年単位の不安定な栽培に依存し、僅かな含有成分を抽出しなければならない。このため、植物由来の希少成分を工業的に生産するためには大きな障壁が存在し、植物抽出に代わる代替生産法の開発が強く求められている。
ファーメランタ株式会社は合成生物学を利用した産業用の人工菌株の構築における統合的な基盤技術を保有している。石川県立大からの15年以上の研究成果を通じて蓄積した新規生合成経路設計、多段階の遺伝子導入、活性型酵素発現、遺伝子発現バランス最適化、タンパク質過剰発現耐性菌などの要素技術を組み合わせることで、既存の物質生産手法の生産課題を解決する高効率な革新的発酵法を保有する。
こうした技術プラットフォームは酵母をベースとした他の企業と比較し、コスト・生産安定性の点で圧倒的な優位性を示すことができる。
電気味覚の技術を活用し、減塩食の塩味とうま味を増強する食器型デバイスであり、使いやすいスプーン型にすることで、通常の食器と同様の使い方で減塩に取り組むことができる。塩分の過剰摂取は国民全体の課題であり、このデバイスを使うことで塩分摂取量の削減や生活習慣病の予防に繋がる可能性がある点が評価された。
日本人はWHOの基準の約2倍の食塩を摂取しており、「食塩の過剰摂取」が日本人の最も重要な栄養課題とされている。一方、減塩実施者の半数以上が減塩食の味に物足りなさを感じている。キリンホールディングスと明治大学は、課題解決のために協働し、電気の力で減塩食の塩味やうま味を増強する技術を開発した。開発した技術は食器型デバイス「エレキソルト」として、2024年5月に発売を開始した。
2023年イグ・ノーベル賞(栄養学)も受賞した、電気の力で味を変化させる“電気味覚”技術を、様々なプロトタイプを経て異分野の技術を組み合わせることで、日常の食事で使いやすい製品として実用化した。また同時に、おいしく減塩が継続できるオリジナルレシピの開発や、企業や自治体等と連携した実証試験を行った。「スプーンで減塩」という新たな減塩方法の提案により、減塩に興味のなかった予防層の行動変容につながる可能性も見出されている。
今後、さらなる研究や国内外での事業展開を計画しており、「おいしさと健康を両立できる社会づくり」を目指している。
03-3263-5501 (平日 10:00~17:00)